みなさんこんにちは。ぱぱさくです。前回はハイエースおじさんが登場し、安全なタイヤ交換方法について紹介させていただきましたが、その際にトルクレンチを使用しましたよね。詳しくは下記のコンテンツにて。
トルクレンチの使用にも正しい使い方が有り、コレを使いこなすことで、様々なネジの絞め上げ作業が正確に行えるようになり、大変便利な工具です。
トルクレンチの種類にも、プレート型、ダイヤル型、プリセット型、デジタル型等がありますがこれらの種類については下記KTCさまのサイトにて紹介しておりますのでご参照ください。
今回、当サイトではは汎用されていますプリセット型のトルクレンチの使用方法について解説させていただきます。
プリセット型のトルクレンチはレンチを稼働させた際に規定のトルクに達すると「カチッ」という音と軽いショックでトルク到達をお知らせするレンチになります。プリセット型は連続作業時や作業中に目盛が読み取れない場合に適しております。
Table of Contents
トルクレンチの役割
トルクレンチは言うまでもなく正確な強さでにボルト締めを行い、オーバートルクを防ぐ目的で使用します。オーバトルクはネジを締め付けすぎて起こる現象ですが、これによりネジ山の変形、素材の欠損等を引き起こし、資材の機能そのものを失うことになります。
ボルトの締めつけに関してはトルクレンチを使わなくても作業自体は可能ですが熟練工でも均等な締めつけはかなり難しいです。正確な締めつけは必要アイテムになります。
特に車や、バイクなどの外部から振動や力が加わる部材にはこれらの影響を加味して設計されていますので、精密な組み立てが必要になります。
このような精度が求められる、ナットの締めつけにはトルクを管理するトルクレンチの使用が必須です。
トルクレンチのメーカー
トルクレンチはメーカーによってラインナップが異なるため、メーカーごとの特徴を紹介しますね。
東日製作所:世界的にシェアの高いトルク機器専門メーカー
トルク機器専門メーカーであり、通称「トーニチ」とも呼ばれえている。国内で初めてトルクレンチを製作した老舗メーカーである。プリセット型でも約20種のラインナップが有り、豊富な製品群が特徴である。
TONE株式会社:トルクレンチなどの工具を扱う工具総合メーカー
日本を代表する総合工具メーカーであり、2013年にブランドの強化、「TONE」の世界でのブランド化を目指し、社名を「TONE株式会社」に変更しています。プリセット型のトルクレンチのラインアップが豊富でヘッド形状から商品を選択できるのも特徴です。下記自社サイトより目的のトルク値やヘッド形状から商品を提案してくれます。https://www.tonetool.co.jp/products/search/torque_wrench.html
京都機械工具(KTC):自動車産業に強みを持つ総合工具メーカー
2016年に「第10回製品安全優良企業表彰経済産業大臣賞」PSアワードを受賞した、信頼性と高品質な製品の提供が認められた総合工具メーカーです。アイテム数も1万点を超えており、ラインナップも豊富なメーカーです。
中でもトルクレンチはあらゆるメンテナンスシーンや製造現場において誰でも自由にトルクが管理できるよう、デジタル表示化によりボルトナットの締めつけ加減をなくした「デジラチェ」が主力商品となっている。
デジらチェの一つである「モメルク」は測定結果を自動記録し、PC管理できるため様々な業務に活用できる。初心者にもオススメのトルクレンチである。
藤原産業:大工道具、電動工具の専門商社
ホームセンター等でも取り扱いしており、比較的安価な値段設定のためDIYユーザーなど、一般の方にフレンドリーな商社となります。各メーカーのトルクレンチを扱っていますが、独自ブランドのSK-11やE-valueが主力商品で、こちらも初心者にはおすすめです。
トルクレンチの単位
トルクの単位はN・m(ニュートンメートル)です。従来の単位はkgfでしたが1992年に改正された新計量法により、ISO国際規格のSI単位系として、力の単位にN(ニュートン)が使われるようになりました。
1kgfは9.8N・mになりますので、約10倍に変換すれば良い計算になります。
トルクレンチの車のトルク値
トルクレンチを使う機会が多い車のホイールナットのトルク値は大凡下記のようになりますが、車種によっても異なりますので、取扱説明書等を確認し、作業しましょう。
- 普通車クラス:90~120N・m
- 軽自動車クラス:80~100N・m
プリセット型のトルクレンチはボルトやナット用の専用締めつけレンチになり、トルク能力の範囲の中から、目的とするトルク値を予め設定するレンチになります。
なお、私のハイエースの場合は取扱説明書の規定では100N・mとなっております。
プリセット型のトルクレンチについて
予め設定したトルク値に達するとカチッとした音と、ショックを与え、トルクに達したことを知らせる機能を備えています。
プリセット型のトルクレンチの利点としては単一トルクでの連続生産性に優れており、トルク値を自由に変更できるため多目的での使用が可能です。デメリットとしてはトルク値の測定結果が表示されないため、作業記録が残らないことや締め付けトルクの検査ができないことです。
プリセット型のトルクレンチの場合、目的とするトルクがトルク能力の中にあるものを選択する必要があります。目的とするトルクが最大トルクの70~80%付近がトルクを一番正確に捕らえることができるので、目的トルクが最大トルクの70~80%になるトルクレンチを選びましょう。
トルク管理について
ネジは目には見えない範囲ではありますが、締めつけによって伸びたり縮んだりしています。そのためネジを締めすぎると伸びてしまい、締める力が弱くなりますし、ネジそのものを損傷してしまいます。逆に締めつけが弱すぎると周りの振動等によって緩んでしまいます。
また、人間の感覚だけで締め付けるトルクを調整するのは熟練の作業者でも難しく、締めつけ不足によるネジの緩みを防ぎたいという意識から、ネジを規定のトルク値以上に締め付けがちです。
更に、同じ大きさ形状のネジであっても素材が鉄なのか、アルミなのか、ステンレスなのかによって適切なトルク値が変わってくるため、その素材に合わせたトルク管理も必要になっていきます。
このため、ネジを締め付ける際のトルク管理は経験や感覚に頼った管理ではなく、トルクレンチを使った正確な管理が求められます。
トルクレンチ本体各部の名称
- 角ドライブ:ソケットの差込口になります(ソケットの種類により異なり本機は12.7mm)
- ラチェット切り替えレバー:角ドライブの回転方向を決めます(上から見て右に合わせると緩める、左に合わせると締める方向に動きます)
- グリップ:締め付け時に握る部分(後述グリップ線に注意)
- ロックつまみ:トルク目盛の固定、解除に調整します
トルクレンチの使い方
目盛の設定方法
- ハンドルロック解除
- 主目盛調整
- 副目盛調整
- ハンドルロック
プリセット型のトルクレンチには下の写真のように主目盛と副目盛が存在し、このメモリの調整でトルクをコントロールします。
先ずは、ハンドルのロックを解除します。このロック機構は使用中に設定トルク値が動かないように基本は全てのトルクレンチにありますが、ロックの方法は機種によって異なります。
私のトルクレンチはグリップのロックつまみでロックするタイプでしたのでつまみを緩めて解除します。
トルク値は主目盛+副目盛になりますので、主目盛を合わせ、副目盛をセンターラインに合わせ設定します。
目盛の設定が完了しましたらつまみをロックしてメモリを固定します。
例)150Nの場合
- 主目盛を見ながらグリップを回し、140N・mの目盛線まで目盛基準を近づけます。
- 副目盛の0をN・m基線に合わせます。この時点では140N・mです。(主目盛の1目盛は14N・m、副目盛はグリップ1周で28N・mです)
- 副目盛を見ながら、右方向に回して副目盛の10にN・m基線を合わせます。
- これで主目盛140+副目盛10になりますので150N・mにセットした状態になります。
トルクレンチの持ち方
レンチの準備が出来ましたら、早速トルクレンチで締め付けていきます。ここで最初に正しいトルクで締め付けるためにはグリップの持ち方には正しい持ち方があります。
トルクは回転の中心軸から力をかける点(力点)までの距離とかける力の大きさで決まります。回転軸から力点までの距離が変わると正確なトルクが測定できないため、正確な持ち方で作業する必要があります。
先ず、グリップのところをよく見てみましょう~。下の写真にもありますように、グリップには必ず基準線が入っております。この基準線の役割は、ここに力を入れる指を掛けて締め付けることです。
理想の持ち方はこの基準線に指一本を引っ掛けて締め付けるのですが、実際には低いトルクでしかこの方法はできませんので、中指をこの基準線に沿わせてグリップを握り締め、中指を意識しながら力を入れて締め付けることです。
この持ち方により、より正確な締めつけが可能になります。
トルクレンチの締め方(車のタイヤを例に)
- ソケット(12.7mm)を各ドライブにセットする
- ラチェット切り替えレバーを右側にセットする
- ソケットをボルトの頭部、またはナットに合わせる
- トルクレンチを時計回りに回して締め付ける
- 「カチッ」と音がして軽いショックが伝わった時点でセットしたトルク値での締め付け完了
タイヤなどのボルトが複数ある場合は、片側から順番に締め付けるのではなく、対角線上になるように締め付けていきましょう。片側から締め付けていきますと誤って浮き出る可能性がありますので、浮き出ないよう均等に締め付けるためにも対角線になるよう締め付けます。
タイヤなどボルトが複数ある場合は締め付ける順番に注意しましょう!
ダブルチェック禁止
ダブルチェックは一度「カチ」と締めつけが終わったあとにもう一度同じトルクで確認のように「カチ」とやる行為です。これは二度以上トルクをかけることで、本来のトルクとはズレたトルクをかけてしまうことになります。もし、締めつけに不安がある場合は、ダブルチェックするのではなくボルトを一度緩めてから再度締め付けましょう。
逆回転禁止
逆回転はプリセット型トルクレンチの内部構造上の問題ですが、緩め側に回してしまうと本体精度を狂わせてしまいますのでやめましょう。ラチェットの切り替えレバーがついていますので一見して逆回転もできそうですが、精度が落ちます。
ダブルチェック、逆回転は厳禁はトルクが狂いますのでやめましょう!「カチッカチっ」はダメですよ。
保管時の注意点
設定トルクは使用範囲の最低値に設定
内部スプリングに力をかけたまま、プリセット型のトルクレンチを保管した場合測定精度低下の原因になります。内部スプリングの劣化を最小限に抑えるために保管時の設定トルクは測定範囲の最低値にセットしましょう。
また、戻し過ぎにも注意です。戻しすぎるとスプリングが外れてしまう可能性もあるため、一番低い値で止めましょう。
高温多湿、ホコリを避けて保管
結露による錆の発生や、ホコリの噛み込みなどが原因となって測定精度が低下する場合がありますので、使用後は保管ケースに入れて高温多湿になる場所を避けて保管しましょう。
トルクレンチ使い方まとめ
今回、トルクレンチの使い方について解説させていただきましたが、使い方自体は簡単ですが精密な工具ですので正しい使い方をしないと正確なトルクでの作業ができません。
使用後の注意点もありますので、丁寧にお使い頂き、本コンテンツが楽しいDIYライフの一助になりますと幸いです。
最後までご試読ありがとうございました。
コメント